医療施設での清掃を考える。。。 ~環境清拭ワイプ 1室1ワイプのアプローチ~
店舗清掃.com2016年11月15日
医療施設での環境管理、ノンクリティカル表面は『医療機器表面』と『ハウスキーピング表面』に分類され、ハウスキーピング表面の環境清掃を清掃会社へ委託または専任の清掃スタッフで管理することが一般的となっています。
ここでは、『医療機器表面』及び『患者ケア区域』での環境清掃について、米国の文献を参考に理想的な清掃実施基準をご紹介いたします。
『患者ケア区域』の清掃対象面は高頻度接触表面であるベッド柵、ナースコール、オーバーテーブル、床頭台など患者様が直接頻繁に触れる箇所とします。その表面を、使い捨ての環境清拭ワイプで湿式清掃を行うことが主流となっていますが、環境清拭ワイプを交換するタイミングなど、正しい湿式清掃の技術を考えてみましょう。
まずは『湿式清掃』についてですが、『湿式』語源のとおり清拭後の表面に薬剤が数秒間濡れている状態を保つ拭き掃除が環境清掃の理想的な拭き方とされています。湿式清掃では、清拭後30秒ほど湿潤状態を保つことで適切な薬剤接触時間を設け、洗浄・消毒の品質を保証する1つの基準とされています。この湿式清掃を行うには、適切な環境清拭ワイプを選定しなくてはいけませんが、製造・販売メーカーの製品によっては使い捨てワイプへの薬剤含浸量が少なく理想的な湿式清掃が行えないものがあります。コストも選定基準の1つですが、そのような清拭ワイプでは限られた場所に複数枚の清拭ワイプを使用していることが実情で、逆にコスト増になっているのでは?と疑問の多いところです。
清拭ワイプの適正使用量と品質保証を考慮したものは、薬剤含浸量やワイプ(紙)の品質を考慮して製造・販売されています。
次に清拭ワイプを交換するタイミング。
これは、複数の患者ケア区域で使用することによる『交差伝播』を防止することを大前提に考えなくてはいけません。
●1室1ワイプアプローチに基づく環境清掃
American Journal of Infection Control Vol.44 より
方法:
800床の大学病院のICUで4年間にわたり、A.baumanniiの積極的なサーベイランス及び保菌者 のコホーティング、ならびに複数の部屋間での清拭ワイプの共有を回避するための新規清掃方 法の導入
結果と結論:
A.baumanniiの保菌者は、2011年の132例から2014年の8例へ
また、2011年の1,000患者日当たり10.78例から2014年の1,000患者日当たり0.69例へ
方策の適用後には、毎月の発生率は持続的に有意に低下しとことが示された。
日本の病棟は他病床の病室が多いので、『1ベッド1ワイプアプローチ』を環境清拭ワイプの使用基準として運用することが、適正使用の基準化によるコストコントロール!交差伝播防止!汚染拡散防止!につながる重要な運用基準と考えられます。
理想的な環境品質と管理基準を実現するために、適切な製品とその効果を再度検討してみてください。
全ての清掃には理由があります。その理由が環境品質向上につながる基準となりますように。。。
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